インターセクシャルと性同一性障害を取り巻く大きな誤解
LGBTIとは?インターセクシャルってなんだろう
トランスジェンダー以上に知られていないインターセクシャルの問題
Amazonで下記のような本が目についたのですが、この本の内容についてではなく、今回はLGBT「I」について少し触れます。
「I」はインターセクシャル(性分化疾患)を指します。
インターセックス、インターセクシャルは「性分化疾患」と言われ、生まれつき身体が男女はっきりと判別できない状態etc....のことを指します。
LGBTIの「I」が表す「インターセックス」とは? « American View
こちらの記事なんですが、「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーと同様に、インターセックスの人たちも認知、平等、人権を求め、多くの場所で闘っている。」とありますが、「同様に、インターセックスの人たちも」というのに誤りがあると思います。
LGBT関連のイベントにインターセックスの人が登場しないことからお気づきかと思いますが、インターセックスの人たちの多くは別に闘ってません。
海外でも日本でも同様のようです。ただインターセックスへの偏見や誤解をなくそうという運動はあるよ。
インターセクシャルを取り巻く大きな誤解。男女どちらでもない性別ではない
「インターセクシャル」って男女どちらでもない性って思われがちなのですが、これが盛大な世の中の誤解なのです。
私たちは普通に考えて、もし「身体の状態が男女中間」の人がいたら「その人の性別は男女どちらでもない人」だと考えてしまいますが、実際はそうではないようです。
男女どちらとも区別の付かない身体に生まれたとしても、たいていの場合「男女どちらかの性自認を持っている」そうです。
※補足)
インターセクシャルにも様々なパターンがあります。身体の一部に異常が見られるが男女の区別ができるケースが多く、完全に男女の判別がつきにくい状態で生まれるの方のが稀だそうです。つまりインターセクシャルの人は全員が両性具有だ!ではないです。
もちろん私自身も、上で知ったことを最初は知らなかったもので、「インターセクシャルは男女どちらでもない性別の人」だとウッカリTwitterで発言してしまいました。
そこに性分化疾患infoさんという過激で有名なTwitterのアカウントの方が、ご指摘してくださったお陰で、誤った認識に気づくことができたのです。
どうしてインターセクシャルは男女どちらでもない性別と誤解されることが多いのか
数年前、「IS〜男でも女でもない性〜」という漫画が原作のテレビドラマが放映された影響は大きいかもしれません。もちろん作品の内容は誤りではありませんが、このタイトルはちょっと考えものですね・・・。
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ネクスDSDジャパン DSD(性分化疾患)を持つ子どもと家族のための情報サイト
Twitter上で、性分化疾患infoさんとやりあってたら、ネクスDSDジャパンという方が上記サイトを教えてくださいました。ご丁寧にありがとうございます・・・。
オランダ社会文化計画局報告書
「インターセックスの状態/性分化疾患と共に生きる」
こちらのPDFの資料がとてもわかり易いかと思います。
性分化疾患と性同一性障害
なぜ自分は、自分のことを男性だと思っているのだろう
<最初におことわり>
性分化疾患と性同一性障害を混合させる意図はありません。
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私はずっと、身体は女性なのに、自分は男性だとはっきりとした自認があるのは何らかの先天的な要因はあるんだろうなと考えていました。しかしその根拠となるような情報がありませんでした。そんな中で、すべての人間が男性、女性、完全な状態で生まれてくるワケではないという情報に行き着きます。
先程、インターセクシャルの方が「男女どちらとも区別の付かない身体に生まれたとしてもほとんどの人が男女どちらかの性自認を持っている」と書きましたが
身体で判別が難しい状態にも関わらず、男女はっきりとした性自認があるなら、性別は必ずしも「生まれの身体に依らない」ということが言えます。
性別は成長の過程で身につくものではないらしい
一般的に私たちは、男女の性別の差は育てられ方や成長の過程で身に付いていくものだと考えがちですが、どうもそういうわけではなく、ヒトは生まれながらにして、自分は男の子・女の子だという認識を持っているようなのです。(中には自分は男か女かの認識を持ってない人もいるし個人差はあります。)
このことはFTMトランスジェンダーの私にも言えており、「身体が女性なのに、自分は男性」というハッキリとして性自認を持っているのです。
・・・ということに私が気づいたのが、2017年の2月頃。最初に自分がトランスジェンダーだと気づいてから1年経ってしまいましたが、「なぜ身体が女性であっても、自分の頭は、自分のことをハッキリと男性と認識しているのかのナゾ」がようやく解けました。不思議でたまりませんでした。
頭と身体がイコールにならないことがある、ただそれだけ
完全な状態で男性や女性で生まれる人もいるけど、そうならないこともある。
性同一性障害専門の先生の話では、身体の性別と脳の性別が決まるまでにはタイムラグがあるそうです。
このことを知るまでは自分という存在は不安定で、本当に苦しい時もありましたがようやく、確信が持て、やっと自分に自信が持てるようになりました。
性別の枠に囚われたくないからでもなく、精神の病や心の性別とかそういう問題でもありません。男の頭で女性をやるのは本当に怖かった・・(笑)それを乗り越えた今は、胸を張っていきていこうと思います。
「心の性別が男」では説明しきれない
私は、自分が生まれつき頭が男の性質を持っているのは知っている。しかし「何故こうなっているのか」、その「根拠」が分からないままでは、私は絶対に、自分のことを信用できなかったもので・・・。
心が男だからって言ってもみんな信じてくれませんし、それじゃやっぱりダメなんですよ。「心の性別」では片付けられない、絶対になんか原因はあるはずだとずっと思っていました。
あくまで個人で感じてることです
性分化疾患と性同一性障害は別物です。
しかし性分化疾患の方の「生まれつきこういう状態」というのは、私のような先天性の性同一性障害の「生まれつきこういう状態」と同じのではないかと思いました。
アレ??自分はTのトランスジェンダーだからLGBTの仲間だと思ってたけど、実は性分化疾患の方に近いんじゃね・・??予想外なところに探していた答えが。
ただ、FTMトランスジェンダーの方の中には、自分は先天的な要因ではないと考えられる方も考えられる方もいますし、「これは私個人の場合」と捉えております。
LGBTと先天性トランスジェンダーとの関係
性別の枠に囚われたくないトランスジェンダーではない
先日、FTMトランスジェンダー当事者として、LGBTERさんにインタビューを受けさせていただきました。
ここでは、あくまで長らく自分がトランスジェンダーだと気づかなくて苦労したとか、これまでの自分の人生の道のりをお話する機会があっただけだなと思います。
お話をしていく上で、自分少しは世間一般なイメージのLGBTとは違うのかなとか感じたり、特にLGBTとして生きる必要はなんもないんだなあと言うのを強く感じるようになりました。だいぶ気持ちが楽になりました・・・・。もちろんLGBTの方々の生き方や考えを否定する気持ちはありません。
自分は「先天性のトランスジェンダー(性同一性障害)」であり、「性別の枠に囚われたくないトランスジェンダー」ではないとハッキリ言えます。
多様な性のあり方の人って言われると「違いますね」です。個人的に多様な性のあり方には反対はしないけども賛成もしません。男女という分け方のほうが自分にはしっくりきます。(ちなみに私の見え方としては性別は男女で青赤で2色だけど、その中で青または赤の色が様々な見え方をしているという感じでしょうか)
また「自分がみんなと違っていい」とは一度も思ったことはありません。想像できないような困難に直面せずに済むなら、みんなと同じの方がよかったです。
私は頭と身体が一致しない何万分の1の当たりくじに当たってしまったんですね。
先天性のトランスジェンダーにも、早いところ医学的に「性分化疾患」のような症状を表す名前が欲しいです
自分では、自分の状態のことを「性同一性障害」や「先天性のトランスジェンダー」って呼んだりしていますが、現状の「性同一性障害」や「トランスジェンダー」という表記ではものすごく不十分だと感じてます。
もう少し医学が進歩すれば、この状態を的確に表してくれる言葉がでてくる可能性は大きいのではないかなと思います。
まだまだ心の病だと思われていることが多く非常に心苦しいです。
性分化疾患と先天性のトランスジェンダーの大きな違い
一般的に、性分化疾患であれば染色体検査をした時に異常が見つかります。例えば、通常XYなのがXYYになっているなど。
しかし先天性のトランスジェンダーの状態にあると言う人の場合、身体は完全に男性、もしくは女性なので染色体から異常は見つかりません。
性同一性障害って現代の科学では、身体からは異常が発見されないのです。
なので、自分の状態を自己申告し、性同一性障害の診断をしてもらうという流れになりますが口下手なヤツとか大変そう・・・。私もちょっと自信ないな~~~。
当事者はどうやって生きているの?
できれば気づかなかったフリをしたい・・・(笑)
身体と心が一致せずに生まれてきた人の人生はいかに・・・・。
私は、ずいぶん長らく女性として生活してから、じつは頭が男のほう・・というのに気づいたので、今から男性になること自体が難しい状況にあります。
なので、ここはもう、頭と身体がなんか逆になってるぅ~~~~♪と言う状態で楽しく生きてます。
男の頭で女性のフリする必要が完全になくなればかなり楽なんだけど・・・。
自分のやりたいことや将来のため、自分の道を閉ざさないためなら、女性のフリをすることは難しいことではないと自分では思っています。また、就職などでは正直にカミングアウトすると不利になることが多いので、何も言わずに身体の方の性別でお仕事しています。
今は世の中的に理解が乏しいので、致し方なく見た目に近い方の性別で暮らしてるけど、、中身は逆です・・・。感覚的には、普通の男性に「仕事をするときは女性の格好でやれ」って言われてるのと同じですね。
普段の仕事に加え、女性のふりするお仕事も余計にするのはめんどくさいし、いくら女性をやることに慣れてしまっても、何かしらのストレスは感じてると思います。
ど、最近はしないでも済むようになりました。やっぱり自分の姿は自分では見えないからそんなに気にならないが正義です・・・・。